~日々の気になるメディアトピックを気ままにコメント分析~

Friday, February 25, 2011

フランス外交ぬかるみにはまる

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中東情勢もますます緊迫化し、各国の外交手段が試される時だというのに、フランス外交は内紛状態。サルコジ政権にとっては、一年後に再選を狙うためにはここが正念場だというのに、外交部門ではエンジンの内部故障が相次ぎなかなか前に進めない状態。

おととい、groupe Marly なる匿名の外交官グループがル・モンド紙にサルコジ政権の外交政策を批判する論説を出したとこのブログで取り上げたが、これに呼応する記事が、昨日、今度はル・フィガロ紙に掲載された。

「匿名の外交官たちへ」‘Réponse aux diplomates anonymes’と題されたこの記事だが、これまた ‘Le Rostand’ と名乗るやはり匿名の外交官グループにより「署名」されている。

皮肉もふんだんに用いたその内容は、groupe Marlyのメンバーを昔の外交に固執した時代遅れの自信過剰者たち扱いした上で、国の経済的崩壊回避、EU議長国の遂行、グルジアの独立を保護などなど、新しい「行動派」政策による具体的な「成果」を挙げながらサルコジ氏のこれまでの外交政策を強力に擁護している。さらに、匿名のMarly集団の影にPS(仏社会党)の存在を匂わせている。

同じ日、サルコジ大統領顧問のアンリ・ゲノHenri Guaino氏が、groupe Marly の主張を一笑に付した上で、この論説は大統領選に向けての「政治キャンペーンのビラ」に過ぎないとラジオで反論。

そして、今日、アリヨマリ外相が、ル・モンド紙上に同じような趣旨の反論を載せ、groupe Marly を「名乗りもしない意気地なし」呼ばわりしながらサルコジ氏の外交政策を賛美している。

そのアリヨマリ氏だが、皮肉なことに、いよいよサルコジ氏に外務大臣を辞任するよう諭されたと各メディアが発表。遅くても週明けの月曜日には新たな大臣が任命される見通しとか。そして、ル・パリジャンLe Parisien の情報によれば、アリヨマリ外相はサルコジ大統領に辞任の意図はないと返答したとのこと。どうなることやら。

ちなみに、アリヨマリ外相は、チュニジア政権崩壊の直前に政権側にデモ隊を取り締まる協力を申し出てひんしゅくを買ったほか、元ベンアリ政権との緊密な関係を非難されている。