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リビア入りすることが出来たジャーナリストが増えたとはいえ、まだまだ不透明な情勢のリビア。ただ、①体制に抗議する市民たちに対する武力弾圧が激しくなっていることと②リビア東部だけではなく西部の首都トリポリ付近の町や村も次々と反体制派により解放され、カダフィ大佐はますます孤立していることだけは確かな様子。
フランスの人権大使のフランソワ・ジムレー氏が語るように、問題は「もはやカダフィ氏が退陣するか否かではなく、いつ去るのかという」点であり、国際社会の関心事は「人道に対する罪が行われていると推察される」という点だ(ロイターのインタビュー2月24日)。
デモ隊に対する容赦ない武力行使を野放しにできるのか?無防備なリビア市民を世界中が見殺しにするのか?国連軍やNATOの介入は必要ではないのか?…
もっともな疑問が頭をよぎる。
しかし、市民を救うという目的とはいえ、中長期的に考えた場合、軍事介入は果たして効果的であろうか?
この疑問に対し、Le Monde Diplomatique の近東専門家 Alain Gresh 氏は昨日Faut-il intervenir militairement en Libye ? (リビアへの軍事介入は必要か)と題するブログ記事を出した。
即刻軍事介入派の意見に対しGresh氏は「列強の軍事介入行為はまさにカダフィやアルカイーダなどのイスラム主義者たちの思う壺だ。そら、外国人が国を乗っ取りに来た!そら、十字軍が攻めて来た!と逆手に利用されかねない」という反論を取り上げ、自らも「イスラエルのガザ攻撃やNATO軍のアフガニスタン爆撃時には誰も止めようとはしなかった」「イラクへのアメリカ軍による介入の結果は、8年後の今、とても成功とは言い難い」と外部からの軍事介入には懐疑的だ。
では、どうすればよいのか?
Gresh氏:まず、国連指揮下の軍事介入は必ずしも効果的でないことを認めるべき。チュニジア・エジプトのケースでは外部干渉なしで市民運動が勝った。また、「国家主権souveraineté nationale」に係わる問題で、今回初めてメンバー国を禁止したアラブ連盟にも注目したい。このような断固とした態度はリビア国内の派閥の亀裂を強めて内部からの崩壊を加速する。
いずれにしても、リビアの石油資源やリビアのアフリカ移民抑止力を称えて、独裁政権と知りながら、今までさんざんリビア政権を武器輸出など軍力的にも援助してきたヨーロッパを始めとする列強が、この状況下で介入することは好ましくない。
私もGreshさんの聡明な分析に賛成ではあるが、その間、自由の「代価」として毎日失われている尊い命たちを見殺しにしているようで何ともやりきれない…。
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