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Saturday, December 22, 2012

結核の象2頭、安楽死の決定は覆る?(リヨン)


パンデール・サーカス所有の2頭の象、ベビーとネパールはひとまず命拾いした。仏各紙によれば、結核を患う2頭は今週早々に安楽死の処置を受けるはずだった。
17日未明、ルフォル農業相の緊急介入により安楽死の決定は延期された。象は2頭とも42歳の雌象で、1999年よりリヨン市のテット・ドール動物園に預けられている。
パンデール・サーカスのジルベール・エデルシュタイン団長は、結核は投薬で治療できると主張し、安楽死を阻止すべく、14日にはオランド大統領に恩赦をも求めていた。
安楽死の決定は12月11日のローヌ県知事命令によるもの。結核は動物から人へ感染するため「動物を世話する人々に対する重大なリスク」が強調されている。一方、リヨン市役所は、「公衆衛生上の問題」を指摘。
県知事は「パンデール・サーカスの団長が望むならば行政裁判所に不服申し立てを行えるよう、決定を見送った」と発表。エデルシュタイン団長の申し立ては12月20日審理される予定。

と、ここまでが12月17日までの出来事。

12月20日に安楽死の中止を求めた申請がなされ、急速審理の結果、12月21日に注目の判決が出た。結果、エデルシュタイン団長の申し立ては棄却、安楽死の決定は維持されることに。

ここで意外なのが、この象たちは結核の「疑い」があるだけで診断が確定しているわけではない、ということ。

審理で原告側はそこを突っ込んだが判事の答えは「象が生きているうちは検査しても確実にシロとは判定できない。原告が求める検査は、感染の有無を知るためだけのもの。時間も掛かるし、検査をする人たちの命をいたずらに危険にさらすことになる」とし、国民の結核菌感染を防ぐという「公共の利益」を優先せざるを得ない、と結論づけた。

エデルシュタイン団長は直ちに判決の破棄申し立てを行う意向を示すとともに、大統領にも再度直訴するという。

ただ、破棄申し立て手続きは、今出ている判決内容の執行を中止させる効力はないので、その間、象たちはいつでも安楽死の処置を受け得る。21日付パリ・マッチ誌(サイト)によれば、その可能性の方が高いという。

そうはさせじと、サーカス団長はメディアを活用する構えだ。「ベビーをネパールを救え!」のインターネット署名はすでに1万1000人をサインを集めたと、ル・パリジャン紙は報告する。

象の運命やいかに・・・・。


・・・というニュースなのだが、個人的にはあまり心を打たれない。動物は嫌いではないし、この象たちにもサーカスにも恨みはないのだけれど。

やっぱりこの団長さんの言い分、やり方かなー。やたらとメディアを動員し、動物園はこんなにひどい仕打ちを~!預けたときは健康だったんだから、健康体で返せ~!やれ署名だ、直訴だ、、、と、パフォーマンスというかウソっぽく聞こえちゃって、なんだかなぁ。

サーカスの他のメス象とケンカしちゃうから動物園に「預かって!」って連れてきたのはサーカス側らしいし、要は「お払い箱」だったのでは。一生懸命世話してきたのは動物園なのに、その飼育員さんたちの健康や命も顧みずに「動物保護」の大儀名文をかざしているような気がして。

サーカスだけにそう感じちゃうのかなー。サーカスの動物はのびのびと自由に生きてるってイメージじゃないものね。まー、その点は動物園も同じだけれど。

あと、動物園の象の話といえば、昔読んだ忘れられない絵本「かわいそうなぞう」。涙無しでは読めないこの本。あの象たちは本当にかわいそうだった。健康なのに理不尽な状況下で殺されなければならないのだから。

絵本と違って、このケースではどうやら重病らしい。実際には毎日苦しんでいるかもしれない。そう思うと安楽死は愛情のある選択かもしれない、とも思うのである。

なんとも煮え切らない気持ちのするニュースだ。


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